2004年10月31日
ホルモン補充療法について
ホルモン補充療法 : Hormone Replacement Therapy(HRT)
更年期の症状がつらい患者様にはとても有効な治療法ですが、副作用が報告されて以来やめる方が多くなりました。
心配な患者様もおられると思うので、ことのしだいを書いておきます。
●平成14年7月にアメリカのNIHが突然HRTの治験を中止すると発表しました。
米国国立衛生研究所(NIH)が企画した、Womenユs Health Initiative Randomized Control Trial(WHI)という、健康な閉経婦人に対するエストロゲンとプロゲスチンを併用したホルモン補充療法の各種健康指標に対する影響を検討した大規模前向き臨床試験(対象は50歳から79歳までの健康女性16,608名)の中途での中止決定を受けたものであります。すなわち、中間観察結果によりますと、大腿骨頸部骨折、結腸直腸癌、全癌の発生数は、それぞれ34%、37%、24%減少する一方、乳癌、心臓発作、脳卒中の発生数は、それぞれ26%、29%、41%増加するというものであり、NIH管轄下の米国国立心臓・肺・血液研究所(NHLBI)は、エストロゲンとプロゲスチンを併用したホルモン補充療法は、これにより得られる恩恵を上回るリスクがあるとの判断から、この大規模な臨床試験を予定より早期に中止することを決定いたしました。
全文はこちら
●これをうけて日本産婦人開会が指針を出しました
ホルモン補充療法の適応変更に関する警告(米国)についての
日本産婦人科医会の指針
●平成16年4月に今度はWHIがエストロゲン単独投与群試験を早期終了したため、日本更年期学会が指針を提示しました
「WHIにおけるエストロゲン単独投与群試験の早期終了の報告」に対する見解と現時点での本邦におけるHRTのあり方
●今度は経口避妊薬が心疾患を予防するという論文が提出されました
エストロゲンの役割に関する従来の見解妊娠意義を唱える大規模観察研究
●エストロゲンとプロゲスチンの併用で静脈血栓リスクが倍加
●閉経の遅い女性は肺癌にかかるリスクが高い
こちら
投稿者 Dr.Michiko-Daimon : 22:25 | コメント (0)
更年期障害について
女性の卵巣機能は、卵巣の重量も女性ホルモンのでかたも20歳代がピークです。30歳代にかいると少し下り坂になります。40歳に入ると急激にホルモンは低下していきます。そのせいで40歳頃から生理が早くなるとか、生理の量が少なくなると訴える方が多くなります。そして大体50歳になると卵巣機能は停止して閉経をむかえることになります。
平均の閉経年齢は50歳です。しかし閉経の時期は個人差があり46歳から55~56歳と幅があります。
女性の卵巣機能は遺伝子にプログラムされていると考えられており、現在のように寿命が伸びても、閉経の時期は延びることはありません。患者様に伺っても50歳頃に閉経する人が多いです。
いわゆる更年期障害の症状は閉経をはさんで前後5年の間に起こります。ですから更年期とは45歳から55歳の間をさします。閉経する数年前から症状はでますので、閉経が早い人は、そのぶん早く更年期の症状がでることになります。こんな理由から40歳頃から更年期の症状を訴える方が出てきます。
更年期にはいろんな不定愁訴が現れます。そのため私たちは患者様の症状についてほかに病気がないかどうか確かめた上で、他の病気がなければ更年期障害と診断します。いわゆる除外診断していきます。
たとえばめまい(更年期の患者様は浮遊感を訴えることが多い)があれば、耳鼻科を受診していただき器質的な病気がないことを確かめます。
HAPのHPに更年期についての詳しい説明があります。
<更年期の主な症状>
◆血管運動神経症状:顔がほてり、のぼせ、手足の冷え、汗をかく、動悸がする
エストロゲンの減少により自律神経のバランスが乱れることが原因となって現れます。突然カーッとほてる(ホットフラッシュ)、周りの人は暑くもないのに汗が出る、夜中に大量の汗をかき眠れない、手足が冷えるなどが特徴的な症状です。
◆運動器系症状;肩こり、腰痛、関節痛、手がしびれる
加齢に伴う変化もありますが、エストロゲンの減少の影響によって血液の循環が悪くなることも原因のひとつとなっています。
◆皮膚症状;皮膚のかさつき、痒み
エストロゲンが減少すると、皮膚の弾力性を保つコラーゲンが減ってきたり、皮脂腺の働きが低下してきます。その結果、うるおいやはりが低下し、乾燥感を感じたり、たるみやしわができてきます。また、皮膚が薄くなると傷つきやすく、外部からの刺激に対しても敏感になり、かさつきやかゆみのトラブルのもととなります。
◆泌尿器系症状;頻尿、尿失禁、膣乾燥感、性交痛
膀胱や尿道の粘膜、尿道平滑筋は、エストロゲンの作用を受けているため、エストロゲンの分泌が低下する更年期以降は、頻尿、尿失禁(尿もれ)などの泌尿器系のトラブルが増えることがあります。また、膣の乾燥感やひりひり感が気になる場合もあります。
◆知覚系症状;手のしびれ、知覚過敏、知覚鈍麻
更年期には、手足がしびれる、皮膚をアリがはっているような感じがするなど、知覚が過敏になったり、逆に手足の感覚が鈍くなるなど、知覚が鈍麻することがあります。これは、エストロゲン減少の影響を受けて皮膚が薄くなるためと考えられます。
◆精神神経系症状;抑うつ、いらいら、不眠、記憶力低下、頭重感
更年期には精神的症状が現れることも少なくありません。具体的には、疲れやすい、イライラする、やる気が出ない、憂うつになる、頭痛がある、不眠が気になる、など。これらの症状は、エストロゲンの分泌低下が根底にあることもありますし、更年期前後に生じる人間関係・環境の変化が原因となっていることもあります。
<更年期の治療>
◆ホルモン補充療法
→日本産婦人科医会
更年期以降に不足するホルモンを補う、更年期障害や骨粗鬆症に対する治療法です。更年期障害は、もともとホルモンが足りなくなるために起こる症状ですから、不足しているホルモンを補って減少をなだらかにすれば、症状が緩和されますこれをホルモン補充療法(HRT:Hormone Replacement Therapy)といいます。HRTはとくに、のぼせ、ほてりなどの血管運動神経症状に効果があるといわれています。
◆漢方薬
◆対症療法
◆精神心理療法
◆アロマセラピー
投稿者 Dr.Michiko-Daimon : 18:34 | コメント (1)
2004年10月26日
エルダー
エルダー;Elder (ドイツコミッションE承認)
学名:Sambucus nigra L.
別名:西洋ニワトコ
原産地:ヨーロッパ
使用部位:花、果実
推奨量:乾燥花1日10~15g
安全性:副作用はない
ただし花・熟した果実以外の内服は危険(生または未熟な果実・種子・葉・樹皮には青酸配糖体を含み、樹皮・種子にはれクチンが含まれるため)
西洋民衆に愛用されたハーブで、神聖なものとされています。キリストが処刑された十字架も裏切り者のユダが首をつったのもこのエルダー木だと伝えられています。
デンマークではエルダーの木にはエルダーおばさんという精霊が住んでいて、枝を切る時には許しをこう呪文を唱えないといけません。
エルダーの木でゆりかごを作るとエルダーおばさんが怒って赤ん坊を絞め殺すためタブー。
【 Elderflower 】
ヨーロッパでは主に花の部分が初期の風邪や発熱性疾患、副鼻腔炎に医薬品として使われている。
<経口摂取>
利尿作用、緩下作用、発汗作用がある。風邪・インフルエンザ・咳・気管支炎に使われる
ニンジン・バーベナ・キバナノクリンザクラ・ミヤマカタバミ・エルダーフラワーの組み合わせは副鼻腔炎の治療や予防に使用される
<外用>
咳・風邪・咽頭炎・インフルエンザ・息切れにうがい薬として使用される
リュウマチの炎症や腫脹に収斂剤として皮膚に使われる
<工業分野では>
エルダーフラワーの抽出物は香水に、芳香水は化粧水や目薬に使われる
<安全性>
食品として通常含まれる量は、食べても安全である
治療量を摂取しても安全で、不都合な作用は報告されていない
ニンジン・バーベナ・キバナノクリンザクラ・ミヤマカタバミ・エルダーフラワーの組み合わ
せはほぼ安全
エルダーフラワーの外用の利用には安全性は十分な情報はない
妊娠中と授乳中は情報がないので使用は避ける
<効果>
ニンジン・バーベナ・キバナノクリンザクラ・ミヤマカタバミ・エルダーフラワーの組み合わ
せは急性慢性の副鼻腔炎に効果あり
その他の効果についてはよくわかっていない
<作用機序>
エルダーフラワーには、発汗作用、利尿作用、緩下作用がある。粘膜を整え気管支の粘液分泌を促します。利尿作用や緩下作用に関係ある成分はまだわかっていない。動物では抗炎症、抗ウィルス、利尿作用が確認されています。
<副作用>なし
ハーブやサプリメントの競合 なし
<薬の影響>なし
<食べ物との食べ合わせ>なし
<臨床検査>データーに影響を与えない
<病気に対する影響>なし
<推奨量>
ドライハーブを3杯(2~4gのドライハーブを250mlのお湯に10~15分浸出したものを3回)まで
ドライハーブとして10~15g
【 Elderberry 】
アメリカではエルダーベリーフルーツジュースシロップがインフルエンザの治療に使われます。
エルダーベリーは緩下作用、利尿作用、発汗作用があり、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、坐骨神経痛、神経痛、癌の治療に利用されます
その他ワインや食品の風味つけに利用される
<安全性>
食品として調理されたものは安全である
調理が不十分だと嘔気嘔吐が見られるときあり注意が必要
妊娠中と授乳中には安全性が確立してないので使用しない
<効能>
インフルエンザについては効果が認められています。
エルダーベリーフルーツジュースシロップを摂取すると、インフルエンザの症状が緩和し持続期間が減少し、2~3日で改善する。
JB Harris のSambucol については臨床的に研究されています。
イスラエルでは子供を含んだ二重盲検が行われ、以下のことが確認されています。
プラセボ投与群では91.7%が改善するのに6日えお要した
エルダーべりー抽出物投与群は93.3%が2日間で明らかに改善した
えるだーべりー抽出物投与でインフルエンザの症状緩和や早期回復が見られる
<作用機序>
フラボノイド(ルチン、イソケルチン、ヒペロシッド)を含み、また3%のタンニンとアントシアニン、精油、レクチンなどを含む
抗ウィルス作用とともに免疫調整作用もあり、
血球凝集素の活性を抑制して、インフルエンザウィルスA型B型の複製を抑制する
炎症性サイトカイン(インターロイキンやtumor necrosis facter)の産生が増加する
投稿者 Dr.Michiko-Daimon : 21:55 | コメント (0)
2004年10月23日
食事と運動で閉経女性のアテローム動脈硬化が遅延する
★∴☆~食事と運動に遅延効果~☆∴★
閉経女性のアテローム動脈硬化
〔米メリーランド州ベセズダ〕ピッツバーグ大学(ペンシルベニア州ピッツバーグ)疫学科のKim Sutton-Tyrrell教授らは,閉経期には動脈壁の肥厚が加速するが,アテローム動脈硬化の進行を示す徴候は低脂肪食と運動量を増やすことにより遅延可能であることがわかった,とJournal of the American College of Cardiology(2004; 44: 579-585)に発表した。
介入により顕著な差
Sutton-Tyrrell教授は「介入の成功により,閉経期に起こる不顕性アテローム動脈硬化の進行が測定可能なほどに遅延されることがわかったという点に意義がある」と指摘。「このデータは,危険因子の改善により疾患の進行が実際に遅延されることを示した初めての介入データである」と述べている。
現在,テュレーン大学(ルイジアナ州ニューオーリンズ)のRachel P. Wildman博士を筆頭研究者とする研究チームは,Women's Healthy Lifestyle Projectに参加した女性353例の頸動脈超音波画像を分析した。このうち約半数は,試験開始時の体重に応じて2.27~6.81 kgの減量を目標に掲げ,食事脂肪を減らし運動量を増やすライフスタイル介入プログラムに参加した。残り半数の対照群は同じ検査を受けたが,介入群が受けた集中グループセッションとライフスタイルのフォローアップ・サポートは受けなかった。
試験の開始時点では,すべての女性は閉経前期であった。頸動脈壁の超音波測定は 4 年間に 2 回実施し,2 年半後には113例に対して 3 回目の測定を行い,アテローム動脈硬化と心疾患リスクに関連する頸動脈壁の内膜中膜複合体厚(IMT)を調べた。
対照群のうち,試験中に閉経を迎えた女性は頸動脈壁の肥厚の進行が速くなっていた(閉経前女性の0.003mm/年に対し,閉経期または閉経後の女性は0.008mm/年)。
試験中に閉経を迎えた女性160例の結果を分析したところ,ライフスタイル介入群では平均して動脈壁の肥厚が遅延していた(対照群の0.008mm/年に対して0.004 mm/年)
更年期以後はどうしてもアテローム硬化が進むのはとめられないということが理解できます。マジで何か運動をすることを考えなくてはなりません。
マタニティエアロビの先生に「更年期女性のためのエアロビクス」ができたらいいなと思っています。
投稿者 Dr.Michiko-Daimon : 00:47 | コメント (0)
2004年10月17日
葉酸摂取が妊娠中の血液凝固に与える影響
血栓症は妊産婦死亡の大きな原因の一つです。最近は術後の血栓症を防ぐために、弾性ストッキングを患者様に着用してもらいます。
以前は日本人には血栓症は非常に少ないと考えられていましたが、食生活の変化から血栓症の発症も決してないとはいえない状況になりました。
葉酸栄養状態によって静脈血栓症の発症を予想できるという研究論文です。葉酸サプリメントが血栓予防に有効だということを示すためには、より大きな規模の研究が必要だと結論しているようですが、ますます妊婦さんは食事を気をつけることが非常に大事だということがわかります。
葉酸を多量に含む食品は、ほうれん草、グリーンアスパラ、春菊、ブロッコリーなどの緑黄色野菜です。
ちなみに厚生労働省は食事以外に健康食品として1日400マイクログラムの葉酸摂取を勧告しています。
投稿者 Dr.Michiko-Daimon : 21:33 | コメント (0)
2004年10月14日
プロポリス
プロポリス;Propolis
<概要>
古代エジプトではミイラの腐敗防止に使われました。古代ギリシャやローマでも皮膚疾患、切り傷、感染症などに使われた記録があります。
pro(前)polis(都市)という意味です。ミツバチはこれを巣の入り口に塗ることで、他の虫や雑菌が中に入らないように巣を守ります。
主な成分は樹脂、蜜蝋、精油、花粉でその他有機酸、脂肪酸、アミノ酸、ミネラル、ビタミンを含有します。
ミツバチは自分の行動範囲にある樹木から樹脂を集めてきます。産地によって効能が異なリ有効性は一定ではありません。症状に合った産地のプロポリスを選ばなくてはなりません。
<適用>
経口投与で、結核、細菌真菌感染、アメーバーなどの原生動物による感染症、鼻咽頭癌、風邪、抵抗力の改善などに使用されます。
胃腸障害、胃潰瘍のヘリコバクターピロリ菌感染にも使われます
抗酸化作用と抗炎症作用があります
通常、傷の消毒、外陰部ヘルペス、口腔外科手術後の創傷治癒促進のためのマウスリンス、火傷につかい、化粧品の原料にもなります。
<安全性>
安全性については十分な情報はありません
妊娠中授乳中には使用しないようにしましょう
<効能>
possibly effective
Ⅱ型ヘルペス;3%の軟膏は再発性外陰部ヘルペスの治癒をは早める
アシクロビル軟膏より早く完全に治癒する
sulcoplasty後の治癒を促進し、痛みを抑え、炎症を防ぐ
十分な証拠はないが
風邪に効く、プラセボに比べて風邪の持続期間が2.5倍も減少する
表面的な第2度の火傷では表皮が早く再生し感染を防ぐ
<作用機序>
プロポリスはポプラや針葉樹の蕾をから得られる樹脂です。ミツバチは巣を維持するために使います。プロポリスは巣に付着するため純粋に取り出すことは難しく、しばしば巣が混入します。
治療目的でプロポリスを使用する時は、抗ウィルス・抗細菌・抗真菌作用を期待します。
プロポリスはフラボノイドを多数含みます
pinocembrin
galangin
pinobanksin
pinobanksin-3-acetate
これらのフラボノイドが微生物に作用すると考えられます。
pinocembrinとgalanginを含むプロポリス抽出物は連鎖球菌の発育を阻止します
口腔疾患を引き起こすさまざまな細菌に試験管内では反応する
プロポリスの抗炎症作用は、アラキドン酸代謝の脂肪酸参加回路を抑制して、プロスタグランジンや好中球の合成が減少することによる。
動物実験では表皮の修復を促進する
抗癌物質を持つカフェー酸フェニールエステル(CAPE)を含む
弱いが抗酸化作用もある
<副作用>
経口摂取した時アレルギー反応を起こすことがある
プロポリスを含む薬用ドロップで潰瘍を伴う口内炎をおこすことあり
プロポリス入りの化粧品で接触性皮膚炎をおこすことあり
<他のハーブとの競合>
なし
<薬との競合>
なし
<食品との競合>
なし
<臨床検査への影響>
なし
<病気との相互作用>
喘息:プロポリスにアレルギーがあると増悪するので、使用禁止
過敏症:ミツバチの副産物(蜂蜜、マツやモミなどの針葉樹、ポプラ、ペルー樹脂、サリチル酸)に過敏な人は使用しないほうがよい
<使用量>
経口:はっきりした量はない
局所的;sulcoplasty後のうがい(5%濃度)
外陰ヘルペス(3%濃度の軟膏)
