☆妊娠と薬☆
妊娠中にはむやみに薬を飲まないように注意しましょう。
妊娠と気づかず飲んでしまい、心配する方がおられます。
最近は世相を反映した相談が多いです。ダイエット食品やニコチンガム、精神安定剤、一番心配したのはドラッグです。幸いなことに受精前の服用で常用していたわけではなく1回だけの火遊びでした。
薬の妊娠への影響については、虎ノ門病院の計算のしかたが、わかりやすいと思いますので、ご紹介します。
<虎ノ門病院の基準>
東京の虎ノ門病院では、妊娠中における薬の危険度を独自に評価し点数化しています。
添付文書やFDAの基準は、治療上の重要度が配慮された処方判断基準となっていますが、虎ノ門病院の基準は薬の危険度だけに注目して評価しています。
分類にあたっては、疫学調査を重視し、次いで症例報告、動物実験(生殖試験)の順で重みづけされています。
さらに、服用時期が点数化され、これらの積による総合的な危険度の評価が可能となっています。
※薬剤の催奇形危険度評価 ※服用時期の催奇形危険度評価
★点数(A) 評 価 条 件 ★
【0点】
◇疫学調査で催奇形の傾向はない、およびヒトの催奇形を肯定する症例報告はない。および動物生殖試験は行なわれていないか、または催奇形は認められていない。
◇または食品としても使用されているもの
【1点】
◇疫学調査は行われていない、およびヒトでの催奇形を肯定する症例報告はない。および動物生殖試験は行なわれていないか、または奇形は認められていない。
◇または局所に使用するものおよび漢方薬
【2点】
◇疫学調査は行われていない、およびヒトでの催奇形を肯定する症例報告はない。しかし動物生殖試験で催奇形の報告がある、または否定と肯定の報告があり優劣がつけ難い。
【3点】
◇疫学調査で催奇形を示唆する報告と否定的報告があり、どちらかといえば否定的。および動物生殖試験で催奇形の報告があるがその結果ヒトでの催奇形はあるとはいえない。
◇または疫学調査は行なわれていないが、ヒトでの催奇形の症例報告がある、または否定と肯定の報告があり優劣がつけ難い
【4点】
◇疫学調査で催奇形を示唆する報告がある、または否定と肯定報告があり、どちらかといえば肯定的。
◇疫学調査で催奇形を示唆する報告と否定的報告があり、どちらかといえば否定的、または疫学調査は行われていない、および人での催奇形に関する信頼性の高い症例報告が複数ある。
【5点】
◇疫学調査で催奇形があると確定的に考えられている。
◇または動物生殖試験の結果、ヒトにも催奇形があると確定的に考えられている。
★点数(B) 最終月経開始日からの日数 ★
0点 0?27日目 無影響期
5点 28?50日目 絶対過敏期
3点 51?84日目 相対過敏期
2点 85?112日目 比較過敏期
1点 113日?出産日まで 潜在過敏期
※ 一部のホルモン系薬剤などは過敏期の補正が必要です。
※催奇形危険度総合得点(C) = 薬剤の危険度点数(A) × 服用時期の危険度点数(B)
★総合得点(C) 判定 患者への説明 ★
【0?6: 無影響】
・薬剤による胎児への催奇形性は、全く考えられない。胎児に奇形が起こる確率は薬剤を服用しなかった人と全く同じである。
【7?11: 注意】
・薬剤による胎児への催奇形性は、皆無とはいえない。しかし、胎児に奇形が起こる確率は薬剤を服用しなかった人と全く同じかそれとほとんど差はな い。
・ 薬剤が市販後間もない新薬であったり、ヒトでは否定的であるが一部の動物実験で催奇形作用が報告されているために安全といいきれないだけで、まず安全と考えられる。
【12?19 :警戒】
・胎児への催奇形性の可能性はあるが危険性は低い。薬剤を服用していない場合に胎児に奇形がある確率を1%とすると、この危険性が2?3%程度になるかもしれない。
・専門家は人工妊娠中絶を考慮する対象になるとは考えない。
【20?25: 危険】
・薬剤の服用によって胎児に奇形がある可能性は服用しなかった場合と比較して明らかに増加する。
・これを理由に人工妊娠中絶が行われたとしても、一部の専門家はその判断が根拠のないものとは考えない。
[佐藤孝道ら:実践 妊娠と薬'92、日本医師会雑誌 124-7, 2000]
<胎児に影響を及ぼす薬物>
全身麻酔剤:あざらし症
クロルプロマジン:神経系異常
アスピリン:骨異常
フルイトラン錠:血小板減少
レセルピン:意識障害
副腎皮質ホルモン:副腎退行現象
女性ホルモン:水頭症
男性ホルモン:女児男性化
甲状腺ホルモン:発育異常
抗甲状腺剤:化骨形成遅延
サルファ剤:高ビリルビン血症
イソニアジド:股関節脱臼
PAS:高ビリルビン血症
インスリン:精神薄弱児
ストマイ、カナマイ:聴力障害
クロラムフェニコール:灰色症候群
テトラサイクリン:骨発育障害
エリスロマイシン:体重減少
マイトマイシンC:発育障害
エンドキサン:四肢・口蓋の奇形
ビタミンA:水頭症(動物で)
ビタミンD6:口蓋裂(動物で)
ビタミンD:硬脳膜裂
症状については代表的なものだけを記載
<男性に与薬された胎児に及ぼす薬剤の影響>
理論的には、薬剤の影響を受けた精子は受精能力を失うか、受精してもその卵は着床しなかったり、妊娠早期に流産して消失します。
出生に至る可能性があるとすれば、染色体異常か遺伝子レベルの異常で、いわゆる催奇形のような形態的異常は発生しません。
また薬剤の影響があるとすれば、精子形成期間はおよそ74日とされていますので、受精前約3ヶ月以内に与薬された薬剤です。
射精の直前にはすでに精子となって蓄えられていますので受精の1?2日前に服用した薬剤の影響はむしろ考えられません。
男性側に与薬された薬剤の影響に関するデータはあまりありませんが、女性側とは異なり、抗癌剤でさえ、胎児に及ぼす影響はほとんどないと考えられています。
ただし次の薬剤では、催奇形が指摘されていますので注意して下さい。
●チガソン(角化症治療剤)、
●コルヒチン錠(通風発作・高尿酸血症治療剤)、
●グリセオフルビン錠(皮膚糸状菌による白癬、黄癬、渦状癬治療剤)
{参考文献}薬事 1994.3
コメント
イスコチンにつき調べてみました。
妊娠中の投与には次のように記載されています。
「妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。」
〔イソニアジドの動物実験(マウス)で胎児の発育障害作用が報告されている。また,イソニアジドとアミノサリチル酸製剤を併用投与されている患者で,奇形を有する児の出現率が高いとする疫学的調査結果がある。〕
→添付文書情報は
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6222005A1027_1_06/
http://plaza.rakuten.co.jp/medicalaroma/11005
妊娠と薬の考え方で行くと
Aは4点×Bは5点=20点 【危険域】
になります。
早急に主意医に妊娠中であることを報告して、対処方法を考えてください。
詳しくは文献を取り寄せてみないとわかりませんから、主治医にご相談ください。
投稿者: 大門美智子 | 2006年02月22日 15:44
結核予防薬イスコチンを飲み始めて5ヶ月建ちます。
6ヶ月は飲みつずけるよう言われていますが、妊娠2ヶ月の終わりです。 このまま飲みつずけても大丈夫なのでしょうか 大変不安です アドバイスお願いします
投稿者: nakai yuuko | 2006年02月22日 00:59
シブトラミンについての記事を読ませていただき、
ぜひともご相談させていただきたく投稿しました。
私もオベスタット(シブトラミン)を飲んでいました。
妊娠に気付いた現在は5週(そろそろ6週)で、
妊娠したと知るまで、約半年ほどオベスタットを毎日1カプセルずつ
服用していました。
また、それと併せて、妊娠初期(絶対過敏期)にあたる週に、
モダフィニルという薬を飲みました。
両方とも未承認の薬なので、どこに相談すれば良いか分からず、
毎日不安な思いでいっぱいです。
私は今34歳ですが、20代の時に、数件の病院で無排卵との診断を受け、
子供はできないものと諦めていました。
ですので突然の妊娠に、喜ぶべきなのに、
今は産むことを断念すべきなのかと悩んでいます。
投稿者: 広瀬 | 2005年09月27日 11:28
山本様 こんにちは
アスピリンはヤナギの樹皮から抽出されました。カモミール・ジャーマンからはアズノール軟膏が作られます。このように多くの薬がハーブから作られることを考えてみても分かるように、薬と同じ注意が必要です。
特に器官形成期といわれる妊娠4?8週は注意が必要です。健康なご夫婦からでも小さな先天異常のある赤ちゃんは数%の割合で生まれます。何かあったときには、母親は自分のしたことを後悔します。母親の精神衛生を考えるとき、私たち産婦人科医はこの器官形成期にはなるべく薬は飲まないにこしたことはないと考えます。
まったく関係ないと思われるようなときでも、母親は、自分のしたことを攻める傾向がありますから。
ハーブには普通食品として使用するには影響はないものもたくさんありますが、通経作用のあるハーブは妊娠中には使えません。
投稿者: 大門美智子 | 2005年09月19日 23:29
先日はお世話になり、ありがとうございました。
妊婦と薬と言っても、時期により、薬剤により、影響はさまざまなんですね。
サプリも薬と同じに考えなくてはいけないんでしょうか?
飲んではいけない時期とかいけないサプリとかあるんでしょうか?
妊婦さんは疲れやすいと感じるように思いますし、つわりもあってつらいですから、サプリも助けになるのではと思ったんですけど。
よろしくお願い致します。
投稿者: 山本 | 2005年09月18日 10:39
モモさん こんにちは。
オベスタットとはシブトラミンのことですね。
調べてみると、シブトラミンの商品名がmeridiaで
meridiaのジェネリック薬品がオベスタットということです。
シブトラミンのコメントに記入したケースと同じです。
薬剤の危険度は3点
服用時期の点数は5点
催奇形危険度総合点は15点という結論になります。
シブトラミンはFADのカテゴリーCの薬剤です。
カテゴリーCは動物実験では催奇形性があるが、人での催奇形性ははっきりしないものと考えます。
結局
【12?19 :警戒】
・胎児への催奇形性の可能性はあるが危険性は低い。薬剤を服用していない場合に胎児に奇形がある確率を1%とすると、この危険性が2?3%程度になるかもしれない。
・専門家は人工妊娠中絶を考慮する対象になるとは考えない。
この結果から、単純な計算上のリスクはこのようなものです。
ただし患者様の不安は、このような数字で割り切れるものではないことは十分に承知しています。
患者様にとっては、おなかの中のこの子に異常があれば、リスクは100%になるわけですから。
万が一、大きな奇形があったりするなら、超音波検査で異常は見つかるかもしれませんが、残念ながら、異常がないのかどうか検査することは不可能なことではないでしょうか。
人に対する催奇形性ははっきりしないようですから、できるだけ気にせずに妊娠中を過ごされてはどうでしょう。
投稿者: オベスタット | 2005年08月02日 17:07
ご相談がありメールしました。
以前、シブトラミンについての記事を読ませて頂いたのですが
私もオベスタットというシブトラミンの入った薬を飲んでいました。
妊娠に気づいた時には6週に入っていて病院に行く前日まで4ヶ月間
飲んでいました。お医者さんに未承認の薬なので実例がなく分からない
様な事を言われてしまい、すごく不安です。
本当に大丈夫なのでしょうか?
また奇形かどうかを調べる検査などはありますか?
投稿者: モモ | 2005年08月02日 11:59